入院

3月4日(金)午後、大学から帰ってきた息子は「頭が痛い」と、すぐに自分の部屋へ上がってしまいました。夜、熱を測ったら38度2分… インフルエンザかもしれないと思いました。インフルエンザだったら、病院で薬をもらわなくてはいけないから、今日は薬は飲まないで早く寝たほうがいい。
5日(土)…朝なのに、熱は38度7分もあります。内科のかかりつけのお医者さんはいないので、20年以上前からお世話になっている小児科へ、朝一番で息子を連れて行きました。診察券を出してみたら平成6年になっています。もう10年以上お医者にかかっていなかったのですね。幸せなことです。
9時前なのに、かなり混んでいます。やっと診察の順番が来て、インフルエンザかどうかを調べてもらいました。結果が出るまで10分から15分かかるとのこと、今日は支部大会なので気が気ではなかったのですが、結局インフルエンザではない、ただの風邪でしょうということでした。
抗生物質など3種類も薬をもらって家に帰りました。私は車を降りるとすぐに自転車に乗り換えて出かけるので、息子には、適当に朝の残りを食べて、ただの風邪なら寝てれば治るから、薬は飲んでも飲まなくてもいい、自分で決めなさいと言いました。息子は、ちょっと考えて「やっぱり飲む」と。実は月曜日に大学のコンサートがあって、声楽科の息子も舞台で歌うことになっているのです。薬を飲んで早く治さなくちゃと思ったのでしょう。
自転車を飛ばしましたが、支部大会には15分も遅れてしまいました。全地区が集まらなくては始まらないと、待っていてくださって申し訳なかったです。午後からは支部委員会で、息子のことも考えましたが、もう大人なんだし、ただの風邪だから大丈夫だろうと最後まで参加しました。
夜は、劇団の演出担当と演出助手が家へ来て打ち合わせをすることになっていて、ほったらかしてしまいましたが、娘が弟のためにお粥を作ってくれました。寝る前に熱を測ったら38度8分、なかなか下がりません。
6日(日)熱は37度台に下がりましたが、明け方からお腹が痛いと言います。吐き気がしたけど吐けなかった、何も食べたくないと。とにかく水分を摂らせて様子をみることにします。
11時頃、腹痛がひどくなって、病院へ行くことにしました。土曜日に行った小児科に電話すると、診てあげたいけど、診察室を改修中で使えないとのこと。旧市役所裏の休日診療に電話をすると、ひどく混んでいて、11時半までの午前中の患者がまだ大勢残っていて、午後の診療はいつ始まるか分からないとの答えです。それで川口市立医療センターに電話をすると、やはり混んでいて待つけれど、連れてきてくださいと言ってくれました。この日は1時から劇の練習がありますが、娘だけ行ってもらい、私は遅れると伝えて、と頼みました。
医療センターまでは車で15分位です。着いたのは1時半、子どもの患者も多くて、やはりかなり混んでいます。内科の先生に診察してもらった時は、もう3時でした。レントゲン、採血をして、結果が出たのが4時50分。医師は、痛み止めの薬を出すから月曜日にもう1度来るようにと言いましたが、息子が痛がっているのを見て、「痛み止めの注射を打ちますか?」と言うのです。
私は、「痛み止めは対処療法でしかないじゃないですか。原因が解からないのに、このまま家に帰るのは不安です」と言い、「虫垂炎ということはないですか?白血球は?」と聞いてみました。 実は私自身が20歳の時に急性虫垂炎で手術をした経験があるのです。
医師は「白血球は高いです。普通は8000だけど、17000あります。でも虫垂炎の熱は大抵7度台で、38度まで上がることはあまりないんですよ」と答えました。 そして少し考えて、「もしまだ待っていられるのなら、救命救急の先生に診てもらいますか?」と言うので、私は一も二もなく「待っています」と答えました。
5時15分、手術室と同じ無影灯のある広い診察室で、救命救急のY先生に診てもらいました。 5時40分にCTも撮って、Y先生の診断は、「中程度の虫垂炎。 開けて見なければ100%とは言えないけれど」そして、「切っちゃおうか?」
手術は怖いけど、腹膜炎はもっと怖い。 息子も手術してもらうと言い、手術を決めたのが6時15分。家に連絡を入れてから手術の同意書にサインをし、感染症検査の採血と同時に点滴をしました。 息子は手術も初めてなら、点滴をするのも初めてです。
7時半に息子が手術室に入ってしまうと、控え室で待っている間、じっとしていると不安になってくるので、劇の仲間に電話して例会の様子を聞いたり、妹に電話したりしました。
8時50分にY先生に呼ばれたので、ドキッとしましたが、Y先生は切り取ったものを見せて、「立派な虫垂炎でした」そして鋏で切り開いて、「普通はピンク色だけど、炎症で中が真っ黒でしょう。 思ったより進んでいました。 手術して良かったですよ。 これは生体検査に出します」
9時過ぎ、息子が手術室から出て来ました。腰椎麻酔なので意識もはっきりしています。「痛い?」と聞くと「何か変な感じ…」麻酔が効いているからね。 4人部屋に入って、看護師さんが「しばらく居てもいいですよ」と言ってくれたので、9時半頃まで居てから家へ帰りました。
月曜から水曜まで、昼と夜の2回ずつ病院へ行き、火曜の夜には、夫と長男、娘も一緒に見舞いに行きました。月曜の午後には、自分で点滴台を持ってトイレへ行けるようになり、火曜の昼からお粥が食べられるようになりました。水曜の昼間はまだ点滴をしていましたが、夜に行った時には点滴も外れていて、もう明日退院することになったと言うので驚きました。
救命救急の部屋なので、同室の方々は本当に辛そうで、息子がピンピンしているのが申し訳ない気持ちです。
というわけで木曜日の午後、無事退院してきました。抜糸は月曜日に外来で。退院する前、Y先生から、生体検査の結果は重度だったと聞いて、あの時、休日診療へ行かずに真直ぐここへ来て良かった、痛み止めで帰らずに手術をして本当に良かったと思いました。コンサートは友人が代役をやってくれたそうです。